標準引越運送約款とは平成2年11月22日に旧運輸省から告示され、平成15年3月3日に改正された、引越し会社と消費者間のトラブルを未然に防ぐことを目的としてつくられた約款(ルール)です。
(現実は見積書の裏に印刷されているだけで説明はない場合が多い)
また、多くの引越会社はこの「標準引越運送約款」を取り入れていますが、一部の引越し会社は、その会社独自で作成した「約款」を届け出し、認可されている場合もありますので、その場合はその業者の約款に従うことになります。いずれにせよ約款に記載されている内容を確認することが大切となります。
標準引越運送約款の要約
約款に書いてある内容が一般的にはわかりにくいので大切なところだけを簡単にまとめました。
見積書について
引越し会社は見積もりを行った際には見積書を発行すること。見積書には「申込者の氏名」「住所」「電話番号」「荷物の受取日時と引渡し日」「引越料金の合計額(内訳、支払方法)」「作業内容」を記載すること。
見積料金は請求しないが、実際に下見を行った際には、それに費やした費用を請求することがあります。
(ただしこれは予めいくら費用がかかるかを通知し、申込者の了解を得なければなりません)
見積もりの際に「内金や手付金」は請求しません。
見積もり時に申込者に「標準引越運送約款」を提示します。
見積書に記載した荷物の受取日の「2日前まで」に、申込者に対して、見積書の記載内容の変更の有無等について確認を行います。
荷物内容について
引越業者は以下に該当する荷物は、扱いを拒絶することができます。
- 現金、有価証券、宝石貴金属、預金通帳、キャッシュカード、その他、お客様が携帯することが可能な貴重品。
- 火薬類その他の危険品(灯油など)、不潔な物品等他の荷物に損害を及ぼす恐れのあるもの。
- 動植物、ピアノ、美術品、骨董品等運送に当たって特殊な管理を要するため、他の荷物と同時に運送することに適さないもの。(ピアノにかんしては別料金で扱う業者が大半です)
- 見積もり時に申告されず、それを運送するのに適する設備がない時。
荷造りについて
お客様は荷物の性質、重量、容積、運送距離等に応じた最適な荷造りをしなければなりません。
もしも適切な荷造りが行われていなかったら、引越し会社はお客様に対して適切な荷造りをするように要求することができます。またお客様が荷造りの費用を支払うことにより、引越し会社の作業員が荷造りをすることもできます。
キャンセル手数料について
以下に該当する場合は、引越し業者はお客様に手数料を請求します。
- 引越し前日にお客様の都合による解約の場合⇒「引越し料金の10%以内」
- 引越し当日にお客様の都合による解約の場合⇒「引越し料金の20%以内」
ただし、引越し会社が荷物の受取日の「2日前まで」に、お客様に対して見積書の記載内容の変更の有無等の確認をしなかった場合は、解約手数料を請求することはできないことになっています。
損害賠償について
引越会社作業員の過失による荷物の破損・紛失、家屋を傷つけた場合は、引越し会社は損害賠償の責任を負い、速やかに賠償します。ただし、保管又は運送に関し注意を怠らなかったことを証明した場合は除きます。
また、荷物の破損・紛失についての責任については、荷物を引き渡した日から3ヶ月以内に通知されなければ、損害賠償責任は請求できません。もし破損や紛失を見つけた場合は、速やかに引越し会社に連絡しなければなりません。
具体的には以下に該当する時には、例え荷物が破損・紛失したとしても補償の対象外となります。
- 荷物の欠陥、自然消耗。
- 荷物の性質による発火、爆発、むれ、かび、腐敗、変色、さびその他これに類似する事由。
- ストライキや強盗による荷物の紛失、運送の遅れ。
- 不可抗力による火災。
- 予見できない異常な交通障害。
- 地震、津波、洪水、暴風雨、地すべり、山崩れ、その他の天災。
- 法令又は公権力の発動による運送の差止め、開封、没収、差押え又は第三者への引渡し。
- お客様の故意又は過失。