今回のお客様は大阪府にお住いされながらも奈良県内で田んぼを所有され、水田稲作をなされているかたです。昨年まで作付けされていたのに加えて今年は新たに田んぼを取得されて作付け面積を拡大されるそうなのですが、稲作と言えば水田、すなわち大量の水が必要となる農業ながら用水の確保がままならず今回当社に掘り井戸のご依頼を頂戴する運びとなりました。
掘り井戸掘削
当社では打込み井戸やボーリング井戸など他の工法も行ってはおりますが、やはりここ一番大量で上質の水が必要となれば掘り井戸の一択となります。
地下水は水を通さない不透水の層にはぜったいに存在しません。砂や小石など、太古の昔に川底だったと思われるようなところにやはり水は存在します。
一つ目の水脈にヒットしました。まだこの下にも砂利の層が続きますので、重機の位置を下げつつさらに掘り下げます。
深さ4メートルまで掘削しました。特別水量が多いわけではないですが比較的順調に水が湧き出てきます。ちょうどこの深さで岩盤に当たりましたので掘り止めとしました。
続いて井戸管の投入。先端には地下水を取込むための取水口をあけています。
下部は砕石で、上部は土で埋め戻しを行います。
最後に掘削で出た残土を引き上げて井戸掘りは一旦終了となります。今回は4トンダンプ二台分の残土が出ました。
井戸配管とポンプ設置
お客様のご要望により水田へ水を入れるためのエンジンポンプに加えて、畑への水やりや手洗い用にガチャポン(東邦工業製手押しポンプ)を設置しました。
動力ポンプは本田技研工業製の2インチエンジンポンプをチョイス。エンジンポンプと聞くと騒音を心配される方もいますが、4ストロークでむしろ電動ポンプより静かな具合です。
井戸は使ってこそ育つ
掘りたての井戸は赤ちゃんのようなものです。特に当社が手掛ける浅井戸はその性格が顕著で、最初からガバガバ豊富な水量の井戸は無いと言っても過言ではありません。しかし、使い続けることによって水の道ができ、徐々に水量豊富な井戸に育ってゆきます。それが何カ月なのか、何年なのはわかりませんが、とにかく水を出し続ける事が大切です。古民家にあるような掘られてから何十年も経過した井戸は大きなポンプをもってしても枯らす事が出来ないほど水の湧きが素晴らしいものです。ですから一旦掘った井戸は湧水量が少なくとも辛抱して使い続けていただきたいと願っております。
その後の代かき、田植えも順調そうでなによりです。心よりおいしいお米の豊作を願っております。